【Flower shop】〜恋するエプロン〜
隣の楓を気にしつつ、
歩いていると
まだ緑色の若い木の葉が
数メートル先に落ちた。
「あ、落ちた」
ただそれだけのことなのに
楓は誰かが、動物が
死んでしまったかのように
悲しい声を出した。
また
ひらひら、と木の葉が
風に乗って
コンクリートで固められた
道の上に落ちる。
「また、来年な」
楓は隣で歩いている私に
ようやく聞こえる声で
木の葉に話しかけた。