リクエストを基にした・【Kiss】シリーズ 『同級生』・2
理由は分かっていた。

けれど認めたくなんてなかった。

誰かのことで、心揺さぶられる自分なんて…信じたくはなかったから…。

誰もいない廊下で声を押し殺しながら泣いた。

だけど時間は過ぎていく。

やがて涙は止まり、アタシは走り出した。

教室に戻ると、クラスメートはアタシの異変に気付いた。

「ああ、走って来たから!」

そう言って誤魔化した。

彼は授業が始まるギリギリに戻って来た。

そして次の日のお昼、いつもの所に、彼は来なかった。

…自分のせいだって、分かっていた。

彼には本当に申し訳ないことをしたとも、分かっている。
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