レクイエム
「ふぅ…」

「セフィア、どうしてこんなに急いだの?」

「いえ、貴族街ならまだしも市街地に出ると人混みでなかなか身動き取れないので…」


あぁなるほど、とクーラは納得した。


ゆっくり歩いていたらすぐに市街地は人で満たされてしまう。それを見越して早歩きしていたらしい。
確かにあの距離を短い時間で抜ければ人通りが少ない間に街を出られるだろう。
それにいつ魔族に襲われるかも分からない身。クーラとしても無関係な人を巻き込まない為に、人の多い街は出来るだけ早く抜けたい。
時刻は7時頃。朝の早い住民は既に街を歩き始めている。


「セフィア、もう少し急ごう」

「はいっ」


一行は早く街を抜ける為、また早足で歩き始めたのだった。
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