レクイエム

魔力持ち

それにしても首都は広い。あれから街の出入り口に着くまでに数時間を要した。この頃には既に人通りもそれなりに増えてきていた。
幸い魔族が現れる事はなかった。

これから本格的に旅が始まるのだなぁとクーラはしみじみ思う。

とりあえず北に無造作に伸びる道をなぞって歩み出す3人。
セフィアとクーラが並んで歩き、少し後ろをアレスが歩く。
旅について行くと言い張ったセフィアは軽装であった。
荷物もほとんど持っておらず、背中に羽のついた可愛らしいリュックを背負っているだけ。大丈夫なのだろうか…
このチグハグな面子で何を話せばいいのか分からず、無言で歩き続けるだけ。アレスは恐らく喋る気はないと思う。隣に居るセフィアも特にこの無言を気にした様子もなく軽い足取りだ。もしかして気まずく思ってるのは自分だけなのかもしれない。


「セフィア、そう言えばセリーさんは元気?」


何とか浮かんだ話題。
セフィアの父は彼女が幼い頃病死し、セリー…セフィアの母も体が弱い為にティアベール家の当主をセフィアが継いでいる。
昨晩泊った時、セリーの姿を見なかった。それがただ単に気になって軽い気持ちで聞いてみた。
< 103 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop