レクイエム
一体セフィアに何を言うつもりなんだと背筋を冷たい汗が伝うのが分かる。


「クーラは魔族に狙われやすい体質だ。ゲートに近付くにつれその体質が顕著に表れるだろう」

「…?はい」

「その時お前はどうするつもりだ?」


3人の足が止まった。
確かにそうだ。
腕自慢のクーラでさえレッサーデーモン一匹相手に手こずった。
お嬢様育ちのセフィアが、対抗手段を持つとは思えない。


「言っておくが俺はクーラを守るので精一杯だぞ」

「う…」


彼の言葉がクーラの胸に突き刺さる。
本来ならば自分がセフィアを守ると言ってやりたい。けど魔族相手となると自分は足手まといでしかない。

──悔しい。

しかしセフィア自身は臆するどころか、笑みを浮かべた。


「大丈夫です。自分の身は自分で守ります」


自信に満ちた表情でアレスを見る。
どこからこの自信が湧いてくるのだろう。クーラは不思議だった。
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