レクイエム
「映像…だったの?あんな高度な魔法を使える人がいるなんて…」


25年程前まではこの世界は魔女狩りが大々的に行われていた。
魔法を使える女は全て魔女とされ、男であれば魔女の下僕、または子孫だと言われ処刑された。
その為この世界には魔法を使える者が少なくなった。今は多少の魔力を持つ者──火を起こしたりだとかそんな初歩的な魔法を使える者はいるが、それを実戦で使える者は少ない。
魔力持ちのナキ自身も、自分の武器を具現化させたり出来るくらいで、魔法そのもので戦う事は出来ない。


そんな歴史があるからこそ、ナキは驚きを隠せない。
体が冷えるのを感じたナキはベッドに戻る。


──この洞窟を出るな


彼の言葉が脳裏に焼き付き、何度もリピートされる。


──奴らも手は出せまい


奴らって?
彼の口振りからして海軍が来るわけではなさそうだ。それよりも厄介な者が来ると言いたげだった。

色々な不安要素が頭をぐるぐると巡る。

その日ナキは眠れない夜を過ごした。
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