レクイエム
──あなたに加護の力を与えます。


途端、リーヴァの体が淡く光り始め、その光がナキを包み込む。
暖かい光が自分に染み込み、血流に乗って全身に回るような感覚。
力が湧いてくるような不思議な感覚が体中を支配する。


「リーヴァ、ありがとう」

──これで魔を退ける事が出来ましょう…気をつけて…


アジトに向かって、舟を漕ぎ始める。
リーヴァは彼女の姿が見えなくなるまで背中を見守っていた。





:*:・:*:・:*:・:*:



「お頭、用意出来やしたぜ」


水竜の湖から帰ってきたナキを、クレンスが待ち構えていた。
足元に置いていた戦利品をナキが乗ってきた舟に積み込む。


「オールを貸して下せぇ。俺が漕ぎます」


オールを受け取りながら舟に乗り込むクレンス。ナキはそのまま舟に腰掛けた。


「行き先はリゼンレーナじゃなくてまたシレネラの街で?」

「うん、首都リゼンレーナは入港審査があるから」

「了解」


舟の先頭に立ち、水を掻き始める。人力とは思えない程に舟はスピードを上げていく。
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