レクイエム
出立
暗い、暗い部屋。
窓から入る月明かりだけがぼんやりと室内を照らしている。
「いつまでそうしてるつもりだ」
「…。」
ナキは答えない。
無視を決め込んでいるのか、はたまた聞こえていないのか。
答える心の余裕がないのかもしれない。
目が覚めない部下の傍で顔をじっと見詰めているだけだ。焦点があっていないかもしれない。
とにかく、心ここにあらずといった感じだ。
あの騒動の後、人に見つかると厄介なので落ち着ける場所に移動する事となった。
その途中で見付けてしまったのだ。
深く傷付いたクレンスを。
ナキの事が心配で後を追ってきたのだろう。火傷やら引っかき傷を至る所に負っていた。レッサーデーモンの仕業だろう。
クレンス自身はナキと肩を並べるくらいのやり手だ。レッサーデーモン1匹くらいなら彼でも対処出来たかもしれない。ただ、数が数だった。人間がいくら頑張ったところでこれが限界。息があるだけ幸いだろう。彼女の強い要望でクレンスも共に安全な場所に移動させることに。
窓から入る月明かりだけがぼんやりと室内を照らしている。
「いつまでそうしてるつもりだ」
「…。」
ナキは答えない。
無視を決め込んでいるのか、はたまた聞こえていないのか。
答える心の余裕がないのかもしれない。
目が覚めない部下の傍で顔をじっと見詰めているだけだ。焦点があっていないかもしれない。
とにかく、心ここにあらずといった感じだ。
あの騒動の後、人に見つかると厄介なので落ち着ける場所に移動する事となった。
その途中で見付けてしまったのだ。
深く傷付いたクレンスを。
ナキの事が心配で後を追ってきたのだろう。火傷やら引っかき傷を至る所に負っていた。レッサーデーモンの仕業だろう。
クレンス自身はナキと肩を並べるくらいのやり手だ。レッサーデーモン1匹くらいなら彼でも対処出来たかもしれない。ただ、数が数だった。人間がいくら頑張ったところでこれが限界。息があるだけ幸いだろう。彼女の強い要望でクレンスも共に安全な場所に移動させることに。