レクイエム
「続けるぞ」


怪訝そうにしているナキを置いて話を進めようとするので、慌てて意識を戻す。


「女に生まれた魔族は親に守られるか、それまでの間に力をつけるんだが…お前は人間として育ってきた。元が魔族であろうがその狭い世界しか知らないお前は、十分な力をつけることが出来なかったという事だ」

「私が弱いから狙いやすいってわけね…」

「まぁそうなるな」


今まで世界中で好き勝手やってきた。
ならず者達を襲い、腕試しをして負けたことなんてなかった。体力だってズバ抜けていた。
だから勘違いしていた。自分は何でもできるんだと。
ただそれは井の中の蛙でしかなかったのだ。
不甲斐なくて、悔しくて、ギリ…と音がなるくらいに下唇を噛みしめた。


「じゃあ次の質問。私が魔族なら、どうして人間界にいるの?物心ついた時には私はリヴァーズにいたわ。魔族は魔界に封じ込められていて、人間界には出られないはずじゃあ…」

「空間の歪みだ。」
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