レクイエム
「ま、まぁ知識の集まる国・シルフォニアに行けばもしかしたら調べられるかもしれない」


今まで巡った世界で手掛かりになりそうな場所に心当たりがあった。
知の国の代名詞を持つシルフォニアは、その二つ名に恥じぬ程の高名な学者が多数所属し、書物の保持数も世界最大級だ。

リヴェイラは親が子に学識・教養・躾などを徹底的に教えるのが通例だ。だが、シルフォニアはそれに加えて国が文官による教育を義務化し、子供達が学び屋という場所で高い水準の教育を受けているという。

昔リヴァーズの皆と立ち寄った時あちらこちらに書物屋が並び、クーラは色々と目移りしたものだ。


「あそこならこのシレネラから出る船で行けるはずだし」

「そうか」

「早速乗船券買いに行こうか」


港付近で先程仲間達とお別れしてしまった。乗船券売り場は港に近い所にあるので、仲間に鉢合わせしないようにゆっくり歩いて戻る。遠目から港が見えるような場所に出て目を凝らしてみると、もうアスピディスク号が旅立ち始めていた。
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