レクイエム
「行っちゃったか…」


今まで乗り回した船が、だんだん小さくなっていく。何とも言えない気持ちになるが、もう悲観的にならないと決めたのだ。
リヴァーズにはクレンスやジレナフがいる。
心配する事は何もないんだと、心を落ち着けた。


「ごめん、乗船券売り場あっちだよ」


クーラは目的地への案内を再開したのであった。





:*:・:*:・:*:・:*:



「ついたついた、ここよ」


アレスが案内された乗船券売り場は、港倉庫地区の手前にある大きな建物だった。
入り口前に立っているこれまた大きな看板に、ここから出る船の行き先と料金、また所要時間などが表示されている。


「シルフォニアだったか?」

「そう、シルフォニア…、首都ウラティスへは1人5000ベルね」

「2人で1万ベルか」

「そうねーちょっと待って」


クーラがポケットに手を突っ込んで残金を確認する。
中から出て来たのは札がたったの一枚と、細かい硬貨が何枚か。
1万と500ベルくらいしかなさそうだ。
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