レクイエム
金銭の事で悩んでるのを察知したアレスが、呆れた眼差しを向ける。
う…と言葉に詰まり、視線を彷徨わせた。


「ところでリゼンレーナには何があるんだ」

「え?」

「わざわざ首都によるのは何か理由があるのかと聞いてるんだ」


「あー…」と、クーラが思い出したように声を漏らす。


「知り合いがいるのよ」

「へぇ」

「残念だけどあたしにはもうお金ないし、どこかから調達しなきゃいけないわけでしょ」

「つまりその知り合いにたかるって事か」


フン、と鼻で笑われ、こめかみがヒクついたが無理やり引き攣った笑みを浮かべる。言い方は悪いが結局のところアレスの言う通りなので何も言い 返せない。


「ま、まぁ結局はそうなんだけどさ」

「そんな簡単にもらえるもんなのか?」


「うーん…」と、またクーラが唸る。顎に手を当てて、少し思考を巡らせた。


「その子、昔私が海賊から助けて以来、やけに懐いちゃって」

「海賊のくせに海賊から守るって何だ?」

「あんたが想像してるようなもんとは違うよ」
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