レクイエム
「…お前が喋り続けてるうちにもう着いたぞ」

「あ」


当分先に見えた首都リゼンレーナの入り口が、もう目の前に迫っていた。
自覚はしていなかったが相当話し続けたんだと少しバツの悪そうな表情を浮かべる。
急に立ち止ったクーラを振り返る。その表情が彼女らしくなかったので、額を小突いてやった。


「さっさと行くぞ」

「痛っ」


まさか小突かれると思っていなかったクーラは間抜けな声を上げ、額を押さえる。悔しげに睨みつける彼女の表情を確認すると、クーラの前を歩き始めた。


「まーたすぐ先に行く!」


アレスの行動は訳が分からない。半ば混乱しながら彼の歩くペースに追いつく為、小走りに追いかけるクーラ。
リゼンレーナに辿り着いたんだ。この旅に進展があることを願いながら足を踏み入れた──…
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