レクイエム

グレイが連れ人がいる事に気付き、おもむろに門を開いた。


「お連れ様がいらっしゃるとは気付かず失礼しました。私共の井戸端会議が終わるのを待っていただくわけにもいきませんし、どうぞお通り下さい」

「いや…」

「ありがとうグレイ」


愛想のないアレスに代わり、クーラが礼をする。
開かれた邸宅への道を進む。後ろからギィィ…と歯切れの悪い音がした。門を閉じたのだ。
振り返れば柵の向こうでディルアンとグレイが手を振っている。微笑みだけを２人に送り、クーラはまた歩き出した。



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これまた凝った装飾がたっぷり施された大きな扉を開くと、中には息を呑むようなエントランスホールが広がる。

奥からメイドが出迎えに姿を表し、恭しく頭を下げた。
ゆっくりと背筋を伸ばした彼女は年の頃は４０程、しかし堂々とした佇まいで２人に笑顔を向けた。彼女はこの邸宅のメイド頭で、そのオーラには貫禄がある。