レクイエム
「ナキ様、お久しぶりでございます」

「あれ、ジルチが出迎えてくれるなんて。もうディルアンとグレイから連絡が行ったの?」

「えぇ、先程内線で。早速ご案内致します」


彼女が歩き出し、2人をエントランスホールに伸びる階段へ誘導する。
廊下に入ると左右の壁に名のある画家の油絵が並ぶ。
いくつか角を曲がり辿り着いた扉。ジルチが「失礼します」と軽くノックをした。


「どうなさいました?」


一呼吸置いて、中から鈴のような澄んだ声が聞こえてきた。


「ナキ様がおいでになりました」

「ナキ姉様が?」


──ガチャ…
ジルチの案内を待たずして、中から少女が現れた。
美しい白のドレスに身を包み、ブロンドの髪を左右で一房ずつ三つ編みにし、可愛らしくリボンで結んでいる。
青い瞳はくりくりとして、長い睫が影を落としている。
要するに可愛い。


「久しぶり、セフィア」
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