レクイエム

セフィアの決意

セフィアの私室。
彼女の部屋のテーブルにはジルチの入れたハーブティーとお茶菓子が並ぶ。
3人はそれぞれソファに座り、話し込んでいた。


「…そうでしたか」


セフィアは空になったティーカップをソーサーに静かに載せた。
何かを考え込むかのような仕草が何となく居心地が悪く感じ、クーラは自分のティーカップに手を伸ばす。

ハーブティーの香りが口内に広がる。温度や濃さも最適で、心が休まる。


「ではこれからクーラと読んだ方がよろしいですか?」


セフィアにはこの数日間の成り行きを話した。

アレスが自分を迎えに来た事。
本当の名前はクーラだという事。
自分がリヴァースを抜けた事。
彼が許嫁であることは本当だという事。
魔族に狙われ始めた事。

――クーラ自身が魔族であった事だけは伏せることにした。


「うん、もうリヴァースも抜けたし…ケジメとして今はクーラを名乗ることにしてるよ」

「分かりました、クー姉様」

「く、クー?」

「あだ名です。」


早速ニックネームをつけられた事がくすぐったくてカップをソーサーの上に置く。
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