レクイエム
「クー姉様、それを伝える為にいらしたのですか?」

「ぅ…」


いよいよ核心に触れる時が来たか。しかし金の無心に来たなんて口が裂けても言えない。どう切り出そうかと悩み、唸り声を上げる。


「旅費がなくて金の無心にきたらしい」

「ああああーーーーっ!」


空気を読まないアレスの発言に思わず大声を上げた。


「何だ」

「あんた言葉を選んでよ…!」

「だがその通りだろう?」

「そ、それはそうだけど…そうじゃなくて!」

「クー姉様、お金がないのですか?」


クーラとアレスの言い争いを聞きセフィアが首を傾げる。ギクリと体を硬直させ、ギギギギ…と油のささっていない機械のような歯切れの悪い音をさせながらセフィアに顔を向ける。
しかし彼女はどうしたの?不思議そうな表情を浮かべているだけ。何と声を掛けていいのやら困ったクーラは言葉に詰まった。
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