レクイエム
「最近会いに来なくて悪かったね…」
「いいえ。私の我が儘ですから…」
2人の間に流れる雰囲気を、アレスが小難しそうな表情を浮かべる。魔族の彼にとって友情や愛情など、そういった感情はよく分からない。
アレスの冷めた視線に気が付いたセフィアがハッと我に返る。婚約者の存在を完全に無視していた。
「失礼致しました」と席を立ち、テーブルの上に置いていたベルをチリン…と鳴らした。
「お呼びでしょうか」
一間置いて、席を外していたジルチが入室する。
「クー姉様とアレス様を客室にご案内願います。アレス様はクー姉様の婚約者様。失礼のないようにね」
「かしこまりました」
主の命を聞き入れ、ジルチは軽く頭を下げた。
セフィアがジルチからアレスに振り返り、深々と頭を下げた。
「お待たせし致しました。狭いお部屋で申し訳ないですが、お2人でごゆっくりなさって」
「…あぁ」
セフィアのように物腰柔らかな相手とどう接すればいいのか分からないらしい。アレスは気のない返事をするだけ。
「いいえ。私の我が儘ですから…」
2人の間に流れる雰囲気を、アレスが小難しそうな表情を浮かべる。魔族の彼にとって友情や愛情など、そういった感情はよく分からない。
アレスの冷めた視線に気が付いたセフィアがハッと我に返る。婚約者の存在を完全に無視していた。
「失礼致しました」と席を立ち、テーブルの上に置いていたベルをチリン…と鳴らした。
「お呼びでしょうか」
一間置いて、席を外していたジルチが入室する。
「クー姉様とアレス様を客室にご案内願います。アレス様はクー姉様の婚約者様。失礼のないようにね」
「かしこまりました」
主の命を聞き入れ、ジルチは軽く頭を下げた。
セフィアがジルチからアレスに振り返り、深々と頭を下げた。
「お待たせし致しました。狭いお部屋で申し訳ないですが、お2人でごゆっくりなさって」
「…あぁ」
セフィアのように物腰柔らかな相手とどう接すればいいのか分からないらしい。アレスは気のない返事をするだけ。