【コメコン】オレんちの兄さん1



――――――――………




「電話誰?また兄ちゃんか?」


オレが電話しているところを見ていたらしい。

すっかり目が覚めたらしい太一が、うーんと伸びをしながら聞いてきた。


「………あぁ」


なんか、返事すんのもダリィし。

つか、のん気な太一がやけにムカつく。


「アサヒの兄ちゃんて、ブラコンだよなー」


ブラコン?

あれがか?

やめてくれ。


あんなだらしない兄貴、あんな手の掛かる兄貴、できるんなら誰かに譲りたい。


「俺も兄ちゃんほしかったなー」


………あげようか?

いや寧ろもらってくれ。

リボン掛けて、超可愛くラッピングして、お前の枕元に置いといてやるよ。




…………はぁ。


帰ろ。

まだ二時間目だけど、帰ろ。


「あっれ、アサヒ帰んの?」

「疲れた、帰る」

「サボったりしたら兄ちゃんに怒られるぜ?
 ニヒヒ」




カッチーーン。


ボカっ!!


「いってぇー!!
 何すんだよ、アサヒ!」

「煩い、この万年居眠り野郎が!」

「なんだとー!」

「帰る!!」


ったく、どいつもこいつも!






―――奪われた気力と舞い込んだイライラ。

俺の上には初夏の青空。


何を勝負した訳じゃないけど、その青空に俺は完敗した気分だった。




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