【コメコン】オレんちの兄さん1
ボスッ。
「うわっ。ア、アサヒ?どうした?」
「バカ兄貴……。」
オレは差し出された新聞を通り越して、兄さんの首に抱きついていた。
タバコとお酒の臭いが残る髪。
いつもは嫌いな臭いなのに、その臭いが今日はどこか心地良く感じた。
「裸足で外に出てくるアサヒの方がバカだろう?」
的外れなことを言う兄さんに「ウッセーよ」と小さく言って、オレは抱きしめた腕に力を込めた。
言いたいことは、山のようにある。
でも、何か言おうとしたら、堪えている涙が溢れ出しそうで。
そんなことになったら、心配性の兄さんはきっと、狼狽えてしまうから。
だから今は……
今だけは。
兄さんが外泊しなかった安心を、思いっきり感じていたいとオレは思った。
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