【コメコン】オレんちの兄さん1
エピローグ





容姿端麗。


頭脳明晰。


スポーツ万能。


仕事だって何でもこなすし、


オレみたいに人付き合いも下手じゃない。




そんな、誰もが羨むオレの兄貴。









だけどホントは、


一人でネクタイも結べない。


メールだってちゃんと打てない。


忘れ物だってしょっちゅうだし、


片付けだってろくにできない。


オレよりずっと年上なのに、


オレよりずっと頼りない。




そんな、ダメ男でダサ男。




なんでこんなのが兄貴なんだろう。


そんな風に、思わなくはない。






でも、それでも。




「あ、鍵あった」

「はぁ!?どこに!?」

「ズボンのポケットに。」

「全部探したんじゃなかったのかよ!?」

「鞄の中なら隅から隅まで探したんだけど…
ズボンにポケットがあることをすっかり忘れてたよ」

「……バカ兄貴っ!(心配して損した!!)」




どうしようもない兄貴なのに、
何故か憎む気になれなくて。


一緒にいると疲れるのに、
傍にいないと不安になる。




文句や愚痴を並べつつも、
ついつい兄さんの世話を焼いてしまうオレ。


そんなオレも、兄さんに負けず劣らずバカなのかもしれない。




.
< 22 / 24 >

この作品をシェア

pagetop