キミだけが私を
双子ということが嫌だった。
1人っ子が良かった。
詩歌なんて、消えてほしい。
何度そう思ったことだろう。
詩歌なんて、消えてしまえばいいのだ。
「おい、佐藤」
図書室で本を探していると、後ろから声をかけられた。
振り向くと、クラスメイトの伊澤君が私を見下ろしていた。
「……何?」
目当ての本を探すのを止め、伊澤君と向き合う。
「お前の片割れ、学校来てないじゃん」
片割れ……。
「片割れなんて言わないで!」
その言葉に傷付き、思わず大きな声を出してしまった。
図書室には誰もおらず、少し安心する。
私たちは好きで双子に生まれてきたわけではないのだ。
「……わりぃ」
伊澤君が謝るのを見て、やりきれない気持ちになる。
「私も、ごめん……」