キミだけが私を
「い、いつから?」
「最初から」
「……どうして」
「好きだから、わかる」
そう言った伊澤君のせいで、私の涙腺は完全に壊れた。
無表情のくせに、なぜか柔らかい表情なのだ。
「泣くなよ」
優しく抱き締めてくれる伊澤君の腕の中で、私は今までの悲しみを全て流した。
和歌ばかりが好かれていた。
どうしても、和歌になりたかった。
和歌になったところで、みんな私だと気付かなかった。
詩歌という存在が学校に来なくても、みんな悲しまなかった。
「三つ編みに戻せよ」
ただキミだけは、私を見つけてくれたのだ。
end