代償としての私の特殊な能力
(ホントに見えてるんだけどな)
でも、うまく説明できる自信がない。
なんだか恥ずかしくて、それ以上言うのをやめた。
美香のお父さんは名残惜しそうに病室を後にする。
「待って」
私は真っ暗闇になるのが怖くて、美香のお父さんを引き留めた。
「おじさんがいなくなると、きっと目が見えなくなるの」
でも、美香のお父さんはまともに取り合ってくれない。
「大丈夫だよ。きっと見えるようになるから」
美香のお父さんは美紗子さんと病室を出て行った。
すぐに消えると思っていた主人公の映像は、病室を出た後も消えないで私の目に映っていた。