代償としての私の特殊な能力
美香は何でも発明した。
ノートログもそうだった。
図書館は場所が場所なだけに声を上げて話せない。
そこで発明したのがノートログだった。
まあ、交換日記みたいな、筆談みたいなもので、美香が書いているときは私が勉強し、私が書いているときには美香が勉強した。
読み終わる頃を見計らって交わされるアイコンタクトにはアールの入り込むすき間なんてなかった。
そう言えば、アールってニックネームも、美香の発案だった。
RLSは「ランニング ラウド スピーカー」の頭文字で、それを略してアールって呼んでいた。
アールの由来を聞いたら誰でも妙に納得した。
アールはそんなヤツで、美香はそんな発明家だった。