代償としての私の特殊な能力
 
激しい痛みで、現実の世界に引き戻された。

目の奥をイガで差すような尖った傷みが、絶え間なく上下左右に暴れ回っていた。
 
 
暗闇だった。

右手は動かない。

わずかに動く左手をさまよわせ、堅く締め付けられた目元をめざした。


「あっ、気付いた」

「愛さん、相沢愛さん、聞こえますか?」

左手が止まる。

私は返事をしようと試みる。

でも、声にならない。


「大丈夫ですよ。ここは病院です」

左手をひんやりとした手に包まれた。

「愛さんは事故に遭ったんです。手術は成功しました。大丈夫ですよ」




病院、手術、事故。

うまく思い出せない。

 
 

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