【完】青春PLAYBALL!!
3回・・・・・・。


3回ともすべて同じようにだ。


作られたような送球。


「盗塁は難しいみたいだね」


柚が呟く。


「笹、お前見ていてどうだ?」


腕組みをしてベンチの後ろでドッシリ構えていた黒須先生が、猫背気味で座り、気落ちしている笹先輩に尋ねる。


「この速さだと、盗塁するのは・・・俺でも難しいですね」


「そうか」


黒須先生はふうっと大きくゆっくり息を吐くと、もう一度深くベンチに座り直した。



ノックはテンポ良く続き、外野が定位置につく。

ノッカーは中継処理を見届けることなく、次々とボールをグラウンドに放り込む。

ボールは全て迷子にならずに、まっすぐにホームへと戻ってくる。


最後のボールは空高く舞いあがり、キャッチャーが受け取った。


『河南農林ノック終了です』



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