【完】青春PLAYBALL!!
土埃をあげながら、整列場所へ向かう。


スタンドからは、まばらな拍手が聞こえた。


「シャーッス!!」


『お待たせしました。東実高校対河南農林の試合まもなく開始でございます。一回の裏・・・・・・』


場内アナウンスが淡々と続く。


一番バッターの笹先輩が準備を始める。

手の汗をぬぐってグローブをつけるその横顔は、どこか不安そうに見える。

笹先輩はだれよりも心配性だ。

だからいつもチョコを食べて緊張を和らげている。


「大丈夫だ、笹。まずはタイミングだけ見てこい!誰も一発目から当てろなんて言ってないんだ」


黒須先生が笹先輩に笑顔でヘルメットを差し出し、バッターボックスへと送り出す。



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