【完】青春PLAYBALL!!
―――二人で続けた朝練。


シンカーが完成したのは柚のおかげだった。



シンカーは右バッターの内側に食い込むように落ちていくボール。


始めのうちはデッドボールばかりで、何度も柚にボールをぶつけてしまった。

柚の左足には、青アザがいっぱいできた。

制服に着替えるとそのアザは丸見えで。

痛々しくて申し訳なかった。


だけど柚は文句一つ言わずに、ずっとバッターボックスに立ち続けた。


「一球ぶつけるごとに100円だからね!シンカー完成までに、いくらたまるかな!」


そんな冗談を言いながら、ずっと・・・・・・。


「これは、サイドスローの木波にしか出来ない最高の変化球なんだよ。だから、絶対予選までには完成させよう!」



"俺だけにしかできない"



そんな俺の特別を柚が見つけてくれたこと。

それが出来上がるまで何度も付き合ってくれたこと。



それがすごく嬉しかったんだ。



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