【完】青春PLAYBALL!!
ザザーーーッ


ランナーは土埃の中立ち上がると、自軍ベンチに向かって拳を挙げた。


「オオーーーーッ!」


「ナイスバッティング!」


ドンドンドンドン


応援席から応援団の低い太鼓の音が、けたたましく鳴り響く。


マウンドに戻ると笹先輩と野田先輩が駆け寄ってきた。


「サイドスローのタイミングをつかみかけてきた頃だ。そろそろストレートだけじゃきついぞ。シンカー使っていこう」


野田先輩が言った。


「だけど俺、まだ自信が・・・・・・」


「そんなことない。試合で投げられないなら、黒須先生はお前を1番にしない。汐崎も言ってただろう」


笹先輩は俺の腰の当たりを優しくポンッと叩くと、自分の守備位置に戻っていった。


「誰もシンカーでストライクとれって言ってるわけじゃない。
一球見せるだけでも、相手は安易にバットを振れなくなる。」


「はい」

俺はキュっと唇を強く結ぶと、右手にもっていたボールをグローブの中に納めた。

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