【完】青春PLAYBALL!!
俺はその時、無意識に・・・本当に無意識に柚を見た。


「行け!木波!」


柚は俺と目が合うと、凛々しく微笑み左拳を俺に向けた。


俺の武器、シンカー。

どこまで通用するか分からないけど、とにかくやるしかない。

俺は決心した。


グローブの中でボールをシンカーの持ち方に変える。



これが、俺の勝負球。



いけっ!




ボールが中指の外側にひっかかり、ゆっくりとバッターに向かって、まがりながら落ちていく。



コキッ・・・・・・



バットの根本にボールが当たる。

ボールはふわりと空に上がる。


相手バッターは内側に食い込んできたボールに背中を反らせていた。


相手の作戦はバントエンドラン。

セカンドランナーはセカンドベースとサードベースの中間まで走っていた。


野田先輩は緩く上へ上がったボールを掴むと、迷い無くセカンドへ送球した。


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