【完】青春PLAYBALL!!
「あ、ちゃんとグローブ磨いてるんだ。偉いね」


制服に着替え終えた柚が、俺の隣に座った。

綾ならグロースを塗っている時、絶対近づかなかったのにな。


「着替えたのにまだ帰らないのか?」


「帰るよ。木波君にお礼したら」


「お礼?俺なにかしたっけ?」


「キャッチボールの時、本気で私にボール投げてくれたでしょ?あれ、すごく嬉しかった」


「え?なんで嬉しいの?当たり前だろ?」


柚は、ふっと微笑むとしばらく間をあけてこう言った。


「・・・・・・まあ、木波君。君も普通じゃなかったってことだよ」


そう言うと柚は立ち上がり、軽々とスポーツバックを肩にかけた。


「じゃ、まもり待ってるからいくね。また明日!」


柚はスカートをひらひらゆらしながら、校門の方へと駆けていった。


「俺も普通じゃないのかよ・・・・・・」


しばらく考えていたけど、その言葉が意味するものは分からなかった。


「また明日・・・か」


俺はグロースで綺麗に光り輝いたグローブを見つめた。


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