【完】青春PLAYBALL!!
「汐崎が何かつけるって珍しいね?いつも、とれちゃって面倒くさいって言ってつけてなかったのに」


「ああ、これね」


柚は野球ボールの鈴をそっと手の中に包みこみ、優しく笑った。


「願掛け。ワールドカップの選考に残りますようにって。三先からもらったの」


俺の心臓に貫かれるような痛みが走る。


「この鈴が鳴るたびにね、頑張れって言われてるみたいで。選考もスッキリした気持ちで頑張れたんだ」


「そうなんだ・・・良かったな」


「うん」


幸せそうに笑う柚を見て、俺は自分自身に嘘をついた。


俺は、自分の気持ちを必死に押し殺して、柚に笑顔を向けた。

柚も俺に笑顔を返した。



俺の気持ちを隠してさえいれば、柚はこうして俺の前で笑ってくれる。


それでいいんだ。



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