【完】青春PLAYBALL!!
柚の出場辞退の話。


俺は前から知っていた。


前っていうのは柚に告白した日。


修学旅行の夜だ。






その日俺たちはなんだか話し足りなくて、旅館の非常階段の所にこっそり隠れて、一緒に過ごした。



その時、俺と柚はこんな会話をした。





「私ね、最後の夏、全部を東実で過ごしたいんだ」


「それって・・・・・・」


「うん。ワールドカップには出場しない」


「話はきてるんだろ?」


「うん。だけど断ろうと思ってる。私、尚哉がマウンドで投げる姿見たいし」


「嬉しいけど・・・でも、お前はもっと上でやれるんだから、そっちに行くべきだよ」


「そんなことない!」


階段にキンと響く大きな声で、柚は叫んだ。

大きな声で驚いたのか、柚はパッと両手で口を押さえると、恥ずかしそうに俯いた。



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