【完】青春PLAYBALL!!
黒須先生は気合いが入っていた。


「アップなのに、ノックきつすぎだって・・・・・・」


滅多に息が切れない修平が、ヘロヘロになりながらスクイズボトルをグイっと持ち上げる。


「あんまり飲み過ぎるなよ。お前今日セカンドで入るんだろ?」


そう言う俺も、スポーツドリンクを飲み干す勢いだ。

じめっとした天気で、汗が噴き出してくる。

隣にいる柚と言えば、慣れた様子で、一口ずつゆっくりとスポーツドリンクを口に含んでいる。


柚の目はじっと相手チームを見据えて落ち着いていた。



一番試合を楽しみにしてたのはこいつなのにな・・・・・・。



甲子園の優勝を夢見て誰よりもこの二週間気合いを入れて練習してきた。

なのに柚は練習試合にも出してもらえないなんて・・・・・・。


確かに常識的に考えたら、15年連続甲子園出場の伝統あるチームとの練習試合に、女子を出すなんて非常識かもしれない。

柚を知らない人ならそう思う人もいるだろう。

けど黒須先生は、柚がどれだけ上手いか知っているし、どれだけ練習に真剣に取り組んできたか知っている。

少しくらい相手チームに話しをつけて出してあげてもいいんじゃないか。


柚が可哀想で仕方なかった。



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