【完】青春PLAYBALL!!
「やばい・・・なんか重い」


「は!?木波失礼すぎ。せめて"荷物が"くらいつけなさいよ!」


俺は必死にペダルを踏んだ。

少しずつ少しずつペダルは軽くなっていった。

でも、ちょっとの段差で自転車はぐらつく。

まだまだ不安定だ。


柚は遠慮がちに俺の腰のあたりに触れる。

柚が俺のことをどう思ってるかなんて知らない。

だから、


『しっかりつかまれよ』

って言ってやれなかった。



10分もしないうちに東実に到着した。

レベルが違いすぎて遠い存在に感じていた土根だが、案外近いことに驚く。


「ありがとう木波」


柚が鞄の重さにすこしよろめきながら、荷台から降りる。


「あれ?」


柚がくいっと首を持ち上げ空を見る。


「ん?何?」


「今ポチっていった」


「ポチ?」


「あ、ほら。雨」


「あ、本当だ」


そうこうしているうちに雨はどんどん強くなる。

俺は急いで自転車を止め、柚と一緒に部室に駆け込んだ。

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