【完】青春PLAYBALL!!
「ああでも言わなきゃ、男と同じように練習してくれないだろうなって思って」


あの時俺が邪な考えを抱いてるとき、柚はどんだけ気を張って、俺に平気なそぶりをしたんだろうか。

この言葉だけで、柚の強さがどれだけのものなのか分かる気がした。


「今頃言うのもなんだけどさ、中学の時一緒に着替えてたってのも嘘。冷静に考えれば、あるわけないって話しだよね」


「でも、汐崎ならありなのかもって思ってた、俺」


「何それ?とことん木波って嫌みなやつ」


柚はにっこり笑って、ロッカーの陰で着替えを始めた。


柚の笑顔をロッカーごしに思い出しながら俺は考えていた。



嘘をついてまで、俺らの中に入って野球をしたかった柚。

甲子園で優勝することを目指している柚。

その理由ってなんなんだろう。


俺は柚の強い思いの理由をとても知りたくなった。


それを知ることができたら、少しでも柚の支えになれるんじゃないのか?


俺はそんなことを考えていた。

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