【完】青春PLAYBALL!!
「私ね、三先に勝ちたかったの」


「三先?」


「そう。私ね、本当は土根に行きたかった。ずっと一緒に野球した三先と一緒に、甲子園目指して頑張りたかったの」


俺はその言葉を聞きながら胸がギュっとなった。

柚は自分の手の平の豆をさすりながらゆっくりと語る。


「だけどね、三先が練習で私に遠慮するようになったの」


「遠慮?」


「そう。三先すっごく大きいでしょ?だからね、筋力の付き方も断然みんなよりずばぬけててさ・・・・・・。情けないよなあ」


「情けない?」


「紅白戦の時ね、三先とクロスプレーになってさ。三先と体が接触したとき、私ぶっとんじゃったんだ。三先はずしんと構えてて体揺らぎもしなかった。その時、顔が地面にこすれて、すっごい傷になってさ。血もだらだら。三先すごく気にしたみたい」


柚は左頬を指でなぞりながら笑っていた。


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