純白の翼
鉄の冷たい扉を開けると、風が強く吹くそこに、彼女はいた。
虚空を真っ直ぐ見詰める少女に彼は声をかける。


「さ、乙女、さん。」


彼女は、静かに振り向く。


息を吸い込み、僕は一息にかすれた声で叫ぶように言った。


「側に居ていいか!!」


早乙女風花は瞳を揺らす。
戸惑う彼女は、年よりも幼く見えた。


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