純白の翼
記憶、空を翔ける者、堕ちた者。
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おとーさんは、不思議な人だった。
きらきら光る白い大きな翼を持っているから、一度だけ、「飛べるの?」って聞いたことがあるの。
おとーさんは、「もう飛べないよ」って悲しそうに笑ってた。
いつだって、あたしとおとーさんは一緒に旅してた。
色んなところを移り住むから、友達もいなかった。
おとーさんは、よくおかあさんの話しをしてくれた。
「空を翔ける姿は、おとーさんとは全然違ってね、彼女は小さな黒い翼で風を操っていたんだよ。
人と混ざって薄くなった血でも、天狗の誇りを持ったひとだった。
おとーさんは、お母さんに一目惚れしたんだよ。」
そう、優しい顔で何度も話すから、あたしは二番目なんだって分かってしまった。