純白の翼

風花のアパートから出ると、外には綾野が壁に寄り掛かっていた。
「三善の命令か?」
「御察しの通り。」
「あの野郎も、全く性格が悪い。
大方展開の予想がついてて情報を流したんだろ?」
「さて、俺にあの人の考えなんか読めるわけないでしょう。
それよりも、俺は個人的な興味が彼女にあるね。
『俺の目的に利用できるかもしれない貴重な同胞』ですから。」
僕は、空気が張り詰めるのを感じた。
「君のことは俺も調べさせてもらった。
万能の天才、近藤千春。
世界トップクラスの会社を経営し、描く絵は、一枚何千万、億単位で取引される。
あらゆる学問に精通した高校生。
つまり、僕ら妖怪の知識すら君の頭の中には入っているということだ。
そんな裏側も知り尽くした君が、彼女に何を思って近付く?」
「一人の男子として、友を目指しているだけさ。残念ながら、僕は普通の人間だよ。
『二尾の忌桜』」
綾野の髪が逆立った。
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