純白の翼
その部屋は、大量の物で溢れていた。
本の山と服の山、それにコンビニ弁当の残骸が散らばっている。
その真ん中で、一人の少女が眠っていた。
黒いストレートのロングヘアは扇形に広がり、色白の肌によく映えている。
水玉のワンピースを着、裸足の少女は、海の底のように暗い部屋で熟睡している。
三善は、がさがさと服を足で掻き分けて進むと、少女を揺すった。
「おい、朝だぞ。」
彼女はその言葉に、慌てたように目を開けた。
「ぅ………、…………………………暗いですよ。」
「今日は、雨だからな。」
少女はしばらく考えていたが、「……なるほどです。」
と納得したようだった。
「近藤、紹介する。これが、二組の特待生、上条唯だ。」
唯は、ぼおっと千春を眺めていたが、あ、と何かに気付いたらしく、
ドアからの逃走をはかった。