純白の翼
僕は、憤りに任せておぶって来た風花をベッドにそっと寝かせた。
「一人で抱える必要なんて全くないんだ。」
千春は呟く。
思いを、眠っている彼女に小さな声で語る。
「僕は、心を隠した人形を描く気はないよ。」
少年はそう言うと、ベッドの隣に座り込んだ。
すぐに寝息をたてはじめた千春の隣で、少女が微かに動く。
「…………私の心はどこにあるの…」
少女の薄く開けた瞳からは涙がこぼれては頬を伝った…
今夜の月は濁って見えたのは気のせいか。
次第にその輝きは雲の流れの中に隠された。