王国ファンタジア【雷電の民】
「まさか…」
「そう。そのまさかや。」
と彼女は喉の奥でくくっと笑い、
「雷電の民最後の一人。名はクラウン。
よろしゅうな」
と名乗った。
そして、ぽかんとする俺に彼女は言った。
「ま、事情はおいおい話すとして、今は兄ちゃんの体を治すことが先決やな」
彼女の指先が俺の眉間に伸びる。反射的に身を強張らせるが、とん、と軽く突かれて軽い痺れとともに俺の意識は再び闇に落ちた。