王国ファンタジア【雷電の民】

幸せそうな一枚に思わず頬が緩む。写っている少女はあのクラウンという少女だろう。今と比べると随分と幼い。しばらく写真を眺めていると、背後でがちゃりと音がした。



扉が開いて入ってきたのはクラウンで、俺を見るなり目を剥いて怒鳴った。


「何しとんねん!まだ寝とらなあかんやないかっ!風邪引くやろ」

そう言われて俺は自分の格好に気がついた。ズボンは履いていたが、上は包帯が巻かれてあるだけの裸。

「あ」

俺の反応を見て彼女の口許がひくりとひきつる。また怒鳴られるかと覚悟したが、彼女の視線は俺が手に持ったままの写真に注がれた。


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