王国ファンタジア【雷電の民】
「ああ…」
一瞬彼女はひどく懐かしそうな表情を浮かべ、ため息をついた。
「とりあえず兄ちゃんベッドに戻ろか」
俺の腕を軽く掴んで、ベッドに戻るように促すと、俺の手にあった写真を取った。大人しくベッドに戻ると、彼女はベッドの側に椅子を引っ張ってきて座った。そのままじっと写真を見つめている。
「家族、なのか?」
「うん?ん〜せやな。隣におるのが兄で、後ろにおるんが長や」
「では族長は君の祖父にあたるのか?」
「いや。赤の他人。でもウチは親が早うに死んでもて、長に育ててもろたから、親代わりには違いないなァ」
そう答えるクラウンは遠い目をしていた。