王国ファンタジア【雷電の民】
部屋に戻ると、兄ちゃんが気遣わしげに見てきた。まったく気のエエ兄ちゃんや。大方年端のいかん“少女”を戦場に連れ出すことに抵抗があるんやろ。せやけど王都には来てほしいてか。
「さて、兄ちゃん。わしの問いに答えてもらおか」
いささか緊張の面持ちで兄ちゃんが頷く。
「兄ちゃんが令状を運んでったんはなんでや」
「君にこのファンタジアを救ってほしいからだ」
「やったら、なんでここまで来たん?こんな伝承の中でしか存在せえへん民族に。ほんまにおるかどうかもわからん。戦力でいうなら他のそれこそある程度能力がわかっとって確かに存在する民のほうが遥に役に立つ」
「それでも、この国のために何かしたかった」
視線が交差する。
「いや、違うな」