王国ファンタジア【雷電の民】
兄ちゃんは一つ息をついて自嘲的な笑みを浮かべた。



「何もできないのが嫌だった

 ドラゴンの襲撃で、部下も同僚も次々死んでいった。

 俺も利き腕をなくした。前線に…、立てなくなった。けどな、けど…っ、

 仲間が必死で戦っているのに、俺だけ寝ていられるか!仮にも、将軍の、俺がっ…!!」

「…それに妻がいるんだ。俺の一番大切なひとだ。失いたくないんだ。

 ここに来たのはそんな個人的な理由だ」



そう言って兄ちゃんは肩を落とした。

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