王国ファンタジア【雷電の民】
目を見開く兄ちゃんににやっと笑ってみせる。
「この里にはな、ここまで辿り着いた者を朋友〈とも〉と呼ぶ習慣があるんや。兄ちゃん、いやクロストリジウム=バシラス。貴方を朋友と呼んでも?」
兄ちゃんが頷くのを見て、わしは笑った。立ち上がり右の拳を左手で掴み顔の前まであげる。頭を下げ片膝をついて告げる。
「我が朋友よ。この里に来たことを歓迎する。そして、」
顔を上げて兄ちゃんとしっかり視線を合わす。
「その強き心に敬意を表して微力ながらドラゴン討伐に力をお貸しいたそう」
掛布を握った兄ちゃんの手が震える。わしから視線を外し、俯く。肩が震えている。
「す、まない…。ありがとう…。ありがとうっ…」