王国ファンタジア【雷電の民】
side バシラス
俺が雷電の里に到着してから10日が経った。彼女はあれから工房に篭っている。
3日前−
「令状に応じてくれるのか!」
「おう」
「ならば今すぐ…つっ」
「あほ」
身を起こそうとした俺を彼女は俺の眉間をキセルで小突いて止めた。
「待ちなはれ。んまにせっかちやのう」
「しかし…」
「焦るんはわかる。早よ帰ってやりたいんやろ。でもな、わしも準備がいる。それに…、まだ王都が落ちたいう話も聞かん。逆に次々と各地から戦士らが着いとるらしい」
渋々だが納得した俺に彼女は笑んだ。
「3日や。3日だけ待ってほしい」
ともかく期限を示されたことで落ち着いた俺に彼女は食糧や水の置いてある場所を教えると、工房に篭るといった。
「わしはここの地下の工房におる。なんかあったら呼んで」
もっとも聞こえてるかはわからんけど。となんとも心許ないことを言ってそれから本当に出てこない。